税金とは




 今日からは、数回に分けて、税金と税理士についての概要、並びに税理士業務を行っている者たちについての概要を説明していきたいと思います。


 我々は、日々税に関することをよく口にします。それは、私が税理士だからということではなく、皆さんもよく口にすることでしょう。


 例えば、悪事がバレた時の「年貢の納め時」であるとか、所得税の定率減税の廃止、消費税率のアップ等です。


 恐らく、国家が存在する限り、税金に関する話題も途切れることはないのでしょう。正に、「国家あるところ税金あり」です。


 また、古今東西問わず「税金」にまつわるエピソードも数限りありません。


 ヨーロッパにおける革命でも、その根底には税金の問題が絡んでいることが多いのです。例えば、マグナ・カルタ(大憲章)も、王の恣意的な課税に端を発していました。


 我が国においても、「佐倉宗五郎事件」は芝居あるいは講談などでもよく知られているところです。

 
 佐倉宗五郎(本名は木内宗吾というが、戯曲の中で使った、この佐倉宗五郎という通称名の方が有名となる。)は、慶長10年(17世紀前半)現在の千葉県佐倉市において、代々続く名主の家に生まれ、そして、宗五郎が名主をしていた頃、佐倉藩において「新税法」が誕生しました。

  (1) 従来の年貢の他に、別に年貢が徴されることになった(増税)。

  (2) 新しく開墾された田んぼにも、年貢が課税されることになった(新税)。

  (3) 以前にも増して、未納税者を厳しく罰することとされた(罰則強化)。


 以上のような内容のものでありました。豊年時はまだしも、凶作による飢饉が続いた時は、百姓一揆が勃発しても不思議ではありません。


 佐倉宗五郎は、農民のために我が身を賭して直訴に及び、その目的は達せられたものの、自分は刑場の露と消えたのでした。


 時に宗五郎、49歳という年齢でした。その功績を称える者は多く、歴史上、義民の代表的人物であることは、衆目の一致するところです。






税金とは2




 前回のように、一般的にごく身近でかつ重要な要素を持つ「税金」も、これを説明するとなるとかなり困難です。


 私は以前、次のような内容の文章を読んだことがあります。それは、民法学の大家である我妻栄さんと、財政学の大家である大内兵衛さんとの対話だったと記憶しています。



   我妻さん 「大内先生、先生は財政学者ですから税金のことはよくお判りでし
          ょう。」
   
   大内さん 「いや、よくは判らないですね。我妻先生の方こそ民法学者ですか
          らよくお判りでしょう。」

   我妻さん 「いや、私もよくは判らないですね。」



 結局、お互い税金のことはどうもよく判らないという対話だったと記憶しています。


 税金の難解さは、その法律が民法・刑法その他多くの法律のように固定的ではなく、経済状況に合わせて頻繁に改正されるのに加え、その学際が多岐にわたることにも起因しているようです。


 例えば税金問題を語る場合、税法学はもちろん、会計学・財政学・政治学・行政法学・経済学・社会学から心理学にいたるまで数多くの社会科学を念頭に置かなければなりません。およそ、税金に全く関連を持たない社会科学はないといっても過言ではないくらいなのです。


 そして税金を難解なものにしている今ひとつの要因は、現在のわが国の税法が大陸法とアメリカ法とのミックス、つまり、つぎはぎだらけのものであるということと、それに毎年膨大な量の通達が出され、それに基づき税務行政が行われているということです。




税金とは3(税金の定義)




 「税金」についての定義づけですが、実は我が国の法律では現在「国税」や「消費税」などの定義はありますが、「税金」についての定義規定はありません。


 しかし、「税金」というものの意義は万国共通であると考えられるので、税法について先進的な、ドイツの租税通則法第1条第1項に目を向けてみたいと思います。


 そこには「租税とは、特別の給付に対する反対給付ではなく、公法上の団体が収入の目的をもって法律の定める課税要件に該当するごとに、一般人に課する一回限りまたは継続的な金銭給付をいう。関税はこれに該当するが行政行為の特別請求に対する手数料および寄付金はこれに該当しない。」と規定されています。


 世の中広いもので、納税者の中には「税務署は警察署よりも何よりも怖い。」という人がよくいます。このような人は自分の身柄を拘束されるよりも、お金を出すことを極端に嫌う人のようです。(税金に関連した場合でも身柄を拘束されることもあるが、稀なのでここでは考慮しないことにする。)


 その怖がる理由が、実は上記の「税金」の意義によく表されています。
 

 というのも、一般的(民・商法)な取引であれば、例えば、私達が物(動産・不動産)を買えばその対価として金銭を支払うし、反対に物品販売業におけるように物を売れば金銭を受け取るのが、普通です。


 また、サービス業(運送業・理容業・美容業・クリーニング業など)や自由業(医業・弁護士業・税理士業・公認会計士業など)の場合は、サービスを提供すればその役務の代償として金銭を受け取るのが通常です。


 しかし、税金の場合は「特別の給付に対する反対給付ではない」のです。


 判りやすくいえば、税金をいくらいくら納めたからといって、ちょうどそれに見合う直接的な見返りは与えられないということです。


 もちろん、国税の場合は、その税金で各省庁の国家予算がたてられるし、また、地方税の場合はその税金で各地方公共団体の予算がたてられるわけなので、間接的には恩恵を受けています。




税理士とは




 「税理士って、一体なんですか?」

 「一体どういうことをする人なのですか?」




 一般の人にとってはなかなか判りにくいと思います。


 しかし、国民にとって税金は、生活に密着した事柄でもあるので、最近は比較的知られてきているようです。


 簡単に言えば、「税理士とは納税者に代わって、所得税・法人税その他各種の税金の申告書・申請書など、税務関係書類の行うとともにその相談を受けることを業とする者のこと」です。


 つまり、1・税務代理 2・税務書類の作成 3・税務相談の事務  を業としており、これらを総称して「税理士業務」といいます。


 ここで、1・税務代理とは、個人や法人の提出した申告書等に対して税務署の行う更正決定等に不服がある時、その申立等について代理をすることをいいます。


 2・税務書類の作成とは、個人や法人が、税務署等に提出する申告書・申請書等の書類を作成することをいいます。


 3・税務相談の事務とは、個人の税金、法人の税金、相続税・贈与税その他もろもろの税金に関する相談に応じることをいいます。


 さてご存知のように、憲法第30条には「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」とあります。


 これは、憲法第26条における「教育の義務」、同27条における「勤労の義務」とともに、国民の三大義務の1つである「納税の義務」です。


 どういう規定かというと、「国民の皆さんは、法律の定めるところに従って、税務書類を作成し、且つ、税金を支払わなければなりませんよ。」というものです。


 この場合、本来的には納税者が各自、自分自身で税務書類を作成できればよいのです。


 しかし実際のところ、法律の規定に従って税務書類を作成しようにも、その手続きや内容があまりにも複雑なのが現状です。(なかには、一部の所得税の申告書のように簡単なものもあるにはありますが。)


 そこで、「モチはモチ屋に」ということで専門家に依頼しようとします。事実、経営者の多くは、その作業を専門家に依頼しています。

 
 その依頼を受ける専門家が「税理士」なのです。

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