前回までは、税理士法第50条より派生したものと考えられる団体、つまり、制限はあるまでも、一定の条件のもと、税理士業務を行える団体について説明してきました。
今回からは数回に分けて、税理士法第50条とは関連性がまったくない、つまり、税理士業務を行う資格のない「ニセ税理士」について、説明したいと思います。
まず、ニセ税理士とは、税理士の資格が無いにもかかわらず、税理士業務を行っている者の事を言います。つまり、資格を必要とする業種の世界には、どこにでもいる「もぐり」のことです。
初めて起業したり、事業を開始された方は、特に、このニセ税理士に注意していただきたいと思います。
というのも、ニセ税理士に関わると、のちのちトラブルになることが非常に多く、その場合に困るのは、ほかならぬ、納税者自身なのです。
よくある例としては、会計事務所に勤務していた者が、税理士の資格を取得できずにその会計事務所を退職し、その勤務時代に担当関与先であった企業、その他の納税者に甘言を用い、引き続き業務に携わろうとするケースです。また、次のようなケースもあります。
顧問税理士を未だ依頼するに至らない程の、小規模会社の経理をしていた者が、税金の勉強をし、それまでの会社とのコネをフルに利用して、退職後その勤務していた会社、あるいは、その会社の取引企業等を関与先として税理士業務を行う場合です。私がまだ会計事務所に勤務していた時、次のようなことがありました。
ある日、息せき切って、60歳過ぎの一人の納税者が突然事務所に飛び込んできました。話を聞いてみると、その納税者(会社の社長)が委嘱していた税理士が行方不明になってしまい、どうしてよいのか分からない、ということでした。
しかも悪いことに、税務経理関係はその税理士に全てまかせっきりだったといいます。さらに話を聞くと、どうもその税理士なるものは、ニセ税理士のようでした。
その税理士なるものは、競輪にこり、町の金融業者から多額の借金をしていて、さらには、金融業者の取立てが妻に及ばないために、偽装離婚をしていました。
その社長のショックが、あまりにも大きく見えたので、早速、その会社の帳簿類を拝見しました。帳簿を調べているうちに、案の定、会社の金が使い込まれていることが分かったのです。
社長の希望により、この件は税務上の問題だけで済ませましたが、他人事ながら、本当に腹が立ったことを記憶しています。
また、バブル期には、土地の高騰に伴う、不動産業者による脱税幇助(ほうじょ)も存在しました。
当時の土地の値上がりは異常で、一坪数千万というのも、都心部では珍しいことではなく、みなさんも記憶に新しいことでしょう。
この場合、所有権の移転がなければ、固定資産税・都市計画税がいくらか高くなるくらいでしたが、土地の譲渡であるとか、相続などにより所有権の移転があれば、多額の税金が発生しました。
それを無理やり、一部の不動産業者が、課税を免れさせようとした(幇助)のです。
これらはどれも、税理士資格のない者が悪質な行為をして、行方が分からなくなったり、トラブルを抱えたりして、結局は、納税者が困ることになるのです。
次回も引き続き、ニセ税理士について説明しようと思います。
私は、税理士業界の求人事情についてブログを書いています。
まだまだ税理士業界について知らないことも多く、
阿部さんのブログで、いろいろ勉強させていただければと思っています。
もしよろしければ、リンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか。
メールアドレスが分からなかったため、コメント欄にて失礼しました。
どうぞよろしくお願いします。
>>米森さん
早速リンク設定させて頂きました。
こちらこそよろしくお願い致します。
こちらからもリンクさせていただきました。
税理士業界の求人事情をしっかりお伝えして
税理士を志す方と、採用側の良い縁を作れる
ようにがんばりたいと思います。
こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。